記事公開日
無停電電源装置とは?災害対策として活用するポイントをご紹介!

突然の停電や落雷による瞬時電圧低下は、工場の生産ラインや制御システムに深刻なダメージを与えることがあります。
データの消失、設備の誤作動、生産停止による損失など、そのリスクは決して小さくありません。
特に近年は自然災害の増加により、電源トラブルへの備えは企業にとって欠かせない課題となっています。
そこで注目されているのが「無停電電源装置(UPS)」です。
ただ、無停電電源装置とは何か、なぜ災害対策として導入すべきなのか、疑問に感じている設備担当者の方も多いのではないでしょうか。
本記事では、無停電電源装置の基本的な仕組みから種類、災害対策として活用するための選定ポイントまで、わかりやすく解説します。
導入を検討している方はぜひ参考にしてください。
【関連記事】
UPS(無停電電源装置)とは?企業における導入の必要性
UPS(無停電電源装置)の仕組みとは?工場設備を守るための基礎知識
無停電電源装置(UPS)とは
無停電電源装置(Uninterruptible Power Supply、以下UPS)とは、停電や電圧変動などの電源トラブルが発生した際に、内蔵のバッテリーから電力を供給し、接続機器への電力供給を継続させる装置です。
一般的に「UPS」という略称で呼ばれることが多く、パソコンやサーバーといったIT機器から、工場の生産設備、医療機器まで幅広い分野で活用されています。
UPSは単なる非常用電源とは異なり、停電の瞬間から電力供給が途切れることなく、機器を安全に稼働させ続ける、あるいは安全に停止させるための時間を確保することを目的としています。
非常用発電機のように起動までにタイムラグが生じることがなく、瞬時に電力を供給できる点が大きな特徴です。
【関連記事】
UPS(無停電電源装置)とは?企業における導入の必要性
無停電電源装置の仕組み
UPSは大きく分けて「常時商用給電方式」「常時インバータ給電方式」「ラインインタラクティブ方式」の3つの方式があります。
常時商用給電方式は、通常時は商用電源をそのまま機器に供給し、停電時にバッテリーからの電力供給に切り替える方式です。
切り替えに数ミリ秒程度の時間を要しますが、コストを抑えられるというメリットがあります。
常時インバータ給電方式は、常に商用電源をバッテリーに蓄え、そこからインバータを通じて機器に電力を供給し続ける方式です。
停電時も瞬断が発生せず、電圧や周波数を常に安定させて出力できるため、精密機器や重要な制御システムに適しています。
ラインインタラクティブ方式は、上記2つの中間的な方式で、電圧変動を自動補正する機能を持ちながら、停電時にはバッテリー給電に切り替えます。コストと性能のバランスが取れた方式として、多くの現場で採用されています。
このように、UPSは方式によって特性が異なるため、用途や求められる信頼性に応じて選定することが重要です。
【関連記事】
UPS(無停電電源装置)の仕組みとは?工場設備を守るための基礎知識
無停電電源装置で防げる電源トラブル
停電による設備の停止
落雷や自然災害、電力会社側の設備トラブルなどにより、突然の停電が発生することがあります。
UPSを導入していれば、停電発生時にもバッテリーからの給電に瞬時に切り替わるため、生産ラインの急な停止や制御システムの異常終了を防ぐことができます。
瞬時電圧低下・電圧変動
落雷などが原因で発生する「瞬時電圧低下(瞬低)」は、数十ミリ秒から数百ミリ秒程度のごく短い時間、電圧が低下する現象です。
停電とは異なり検知しにくいものの、精密機器や制御装置には大きな影響を及ぼし、誤作動や機器停止の原因となります。
UPSは、このようなわずかな電圧変動も検知し、安定した電力を供給し続けることができます。
ノイズなど外部要因による誤作動
電源ラインに乗るノイズも、制御システムの誤作動やデータ破損の原因となります。
UPSにはノイズフィルタ機能を備えた製品も多く、外部からのノイズを除去し、クリーンな電力を機器に供給することで、安定稼働をサポートします。
工場・企業が無停電電源装置を災害対策として導入すべき理由
生産ライン停止によるコスト損失を防ぐ
工場の生産ラインが停電によって停止すると、復旧までの時間だけでなく、再稼働に伴う調整作業や不良品発生のリスクも生じます。
特に24時間稼働の工場では、わずかな停止時間でも大きな損失につながりかねません。
UPSを導入することで、停電時にも安全に設備を停止させる、あるいは短時間の停電であれば稼働を継続させることが可能となり、コスト損失を最小限に抑えられます。
制御システム・データの保護
生産管理システムやPLC(プログラマブルロジックコントローラ)などの制御システムは、突然の電源遮断によってデータが破損したり、設定情報が失われたりするリスクがあります。
UPSがあれば、停電時にもシステムを正常にシャットダウンするための時間を確保でき、重要なデータや設定を保護できます。
従業員の安全確保と二次災害防止
工場内では、停電によって照明が消えたり、稼働中の機械が予期せず停止したりすることで、従業員が怪我をするリスクが高まります。
また、設備の誤作動によっては火災などの二次災害につながる可能性もあります。
UPSによって非常照明やセキュリティシステムの電力を確保することで、従業員の安全確保にもつながります。
災害対策として無停電電源装置を選ぶ際のポイント
必要な容量・バックアップ時間の見極め方
UPSを選定する際は、まず保護したい設備の消費電力を把握し、それに見合った容量のUPSを選ぶ必要があります。
容量が不足していると、いざというときに十分な電力を供給できません。
また、停電時にどの程度の時間、電力供給を継続させたいかによって、必要なバッテリー容量も変わってきます。
単に機器を安全に停止させるだけであれば数分程度で十分な場合もありますが、生産ラインを一定時間稼働させ続けたい場合は、より大容量のバッテリーが必要です。
導入前に、自社の設備構成と目的に応じたシミュレーションを行うことが重要です。
設置環境や拡張性の確認
UPSは設置場所の温度や湿度、スペースなどの環境条件によって、選定すべき製品が異なります。
工場内の設置スペースや周辺環境を事前に確認し、適切なサイズ・仕様の製品を選ぶ必要があります。
また、将来的に設備を増設する可能性がある場合は、拡張性のある製品を選んでおくと、後々の追加投資を抑えられます。
保守・メンテナンス体制のチェック
UPSは内蔵バッテリーの経年劣化により、定期的な交換が必要な機器です。
いざというときに機能しなければ意味がないため、導入時には保守・メンテナンス体制が整っているメーカーやサービスを選ぶことが大切です。
定期点検やバッテリー交換対応、故障時のサポート体制なども事前に確認しておきましょう。
まとめ
無停電電源装置(UPS)は、停電や瞬時電圧低下、ノイズといったさまざまな電源トラブルから工場の設備やシステムを守る重要な役割を果たします。
生産ライン停止によるコスト損失の防止、制御システムやデータの保護、従業員の安全確保など、災害対策として導入するメリットは多岐にわたります。
導入にあたっては、必要な容量やバックアップ時間、設置環境、保守体制など、複数の観点から自社に適した製品を選定することが重要です。
自然災害の増加により電源トラブルのリスクが高まっている今こそ、無停電電源装置の導入を検討し、万が一の事態に備えた体制を整えておきましょう。


